なぜ無垢一枚板は高いか

  大手メーカーが量産する集成材の6人掛けダイニングテーブルですと安い物で5万円、少し高級になると10万円といったあたりが相場です。これに対して、無垢一枚板のダイニングテーブルは安くても20万円、高いものは100万円を超えます。なぜこんなにも値段に差があるのでしょうか?
  それには次のような理由があります。

理由1 大木からしか取れない

  無垢一枚板とは薄く切った板を張り重ねたり、こまかい木を組み合わせたりしない木そのもののかたまりのことです。
  たとえば、6人掛けダイニングテーブルですと、標準的なもので180p×80p、厚みが7p以上あります。この直方体を木から切り出すわけですから、木はそれよりもさらに大きくなければなりません。樹齢何百年もの貴重な大木が無垢一枚板の原料となるのはこのためです。
  大木ですから、伐採、輸送には特別な機材が必要となり、費用もかかります。


理由2、取れる量が少ない

  製材は下記のように木を縦方向にスライスしておこないます。輪切りにしたものは使いません。それは、中心部分が割れやすい部位であるためと、取れた板が似通った木目になる恐れがあるためです。木の中心を避けて製材するので、一枚板が取れる部分は自ずと限定されます。
  また、製材してみると中が空洞で使い物にならない場合があります。木は中心部から成長が止まり、水や養分を通しながら肥え太る外側さえあれば生きていられるため、外見は元気でも中は空洞の場合が多々あります。


理由3 美しい杢目は希少

  木目の中でもとくに美しいものを杢目と呼びます。珠杢、縞杢、縮み杢、鳥眼杢などいろいろありますが、どれもたいへん希少価値の高いものです。また、切り出し方によって杢目の現れ方が異なるため、長い経験を積んだ職人による優れた木取りが必要です。
▲縮杢(撮影、木楽木工房)


理由4 乾燥に時間がかかる

  乾燥していない木は反ったり割れたりします。近年は人工的に短時間で乾燥させる方法もありますが、急激な乾燥も割れや反りの原因となるため自然乾燥を取り入れながら行なわれます。自然乾燥だけですと3年から5年、さらにそれ以上の時間が必要です。広い場所と長い時間が必要となるため経費のかかる工程です。乾燥の過程で反ってくるものもあり、完全な水平にするための修正が必要な場合もあります。
▲割れ止め塗布(木楽木工房倉庫にて)

理由5 屋久杉はオークションが終わる

  屋久島産の杉の中でも特に樹齢1000年以上のものだけが屋久杉と呼ばれます。たいへん人気の高い樹種です。本来、天然記念物に指定されているため、倒木や埋もれ木しか採取してはいけないことになっています。それがもうほぼ取りつくされたため、オークションはまもなく終了。新しく流通する屋久杉がゼロになるわけですから、今後、屋久杉はますます希少なものとなるでしょう。
屋久杉(ウィキペディアより)